『どれもうまく歌われている』
1.home(川村結花)2.夜に傷ついて(アン・ルイス)3.彼女(佐野元春)4.コーヒールンバ(井上陽水)5.優しい雨(小泉今日子)6.はじまりはいつも雨(ASKA)7.少女(五輪真弓)8.見上げてごらん夜の星を(坂本九)9.TRUTH ’94(trf)10.IF(BREAD)11.切手のないおくりもの(財津和夫)12.夢路?acoustic version?(伴都美子)
1は「夜空ノムコウ」の作曲者。女性に強く支持された詞が歌われています。彼女は主題をよく昇華しているようで、かなり意思の入った歌い方です。9、11(2・4番の詞カットもア・カペラコーラスアレンジが絶品)と並び最も他人の曲を自らの制御下におけている曲なので、借りてきた言葉ではなく彼女の言葉として歌っています。
しかし先達のスタンダードではもっと自分の色を出してほしかった。勿論ただ聞く分には申し分なく声もよく出ているのですが、そのカバー表現から新しく得るものについて物足りなさがあります。
例えば最も難しい3。原曲では気の抜けた空っぽさ虚ろさ、淡々と足をひきずるように歌う無常観が表現されています。彼女がこの哀しい男の背中へあと少し物足りないのは、例えばホリー・コールが何百も試行錯誤する先で辿り付く境地のように、アプローチ回数の末に出てくる説得力の不足かもしれません。いつかもっと歌いこんだベテランになったときカバーは味が出てくるのかも。
12のように伴がその声色に少しだけ積極性を乗せ、フレーズ毎にその表情を変えるともっと面白いカバーでした。