『職人の力』
1981年に出た単行本の文庫化。
日本のあちこちに匠を訪れた記録。扇、染色、石積み、櫛、刺青、印伝などが取り上げられている。
職人というのは頑ななものだが、その心にスッと入り込んでしまうのが凄い。さすが白洲正子だ。そして匠から巧みに話を聞きだしてしまう。余人には真似の出来ない芸当であろう。
そこで語られる匠の世界は、やはり一般の世界とはどこか違っていて、偏屈であったり、一徹であったりする。その偏りのなかから、素晴らしい道具が生まれてくるのだ。
ただ、この種の作品では避けがたいことなのかも知れないが、どこか白々しさが漂っているようにも感じた。ほめすぎというか、心酔しすぎというか。でも、それでなければ匠の話は聞き出せないのだから、難しいものだ。