2002年1月からTBS系で全9回放映され、人気を博したテレビドラマ「木更津キャッツアイ」のシナリオ集。木更津を舞台にして、昼は野球仲間、夜はちょっとマヌケな窃盗団を組織する悪友5人組の活躍を描いた作品である。ドラマでは、余命わずかの主人公役である岡田准一をはじめ、若手俳優たちが、それぞれ個性的な役柄を好演した。 著者は、脚本家、俳優、ミュージシャンと多彩な顔を持つ、「クドカン」こと宮藤官九郎だ。ドラマ「池袋ウエストゲートパーク」で、クドカン節ともいえる軽妙な会話と、小気味よいストーリー展開を披露。映画『GO』の脚本では多数の映画賞を受賞し、新感覚の脚本家として注目を浴びた。本書は、宮藤の初めてのシナリオ集である。 ぶっさん、バンビ、アニ、マスター、うっちー、などドラマでおなじみの面々が繰り広げる物語のおもしろさは、活字の上でも健在だ。瀕死の主人公と、モノマネを連発する先輩とのやりとりなど、全編を通してユーモラスな場面で編まれた本書。死という深刻なテーマを含みながらも、湿っぽくならず爆笑させられるのが魅力である。また、映像版では聞き逃しがちな、登場人物たちのコントのような掛け合いも、あらためてシナリオ上で確認できる。巻末には「Vシネ」「長渕キック」「やっさいもっさい」など、関連キーワードを並べた木更津156語句解説を収録。この作品をよく知らない初心者にも親切だ。(砂塚洋美)
次へ