『ナスカの地上絵』
1990年に出た単行本に、「一九九〇年一〇月?統一ドイツ」を加えたもの。
生涯にわたってナスカの地上絵を研究しつづけたドイツ人マリア・ライヘの伝記。少女時代から晩年に至るまで、エピソードをつなげながら語られている。楠田氏自身が何度もナスカへ足を運び、ライヘとも親しくなり、色々と話を聞いている。それをもとにしての伝記だから、現実感があり、ディテールも面白かった。
ただ、印象深かったのは、ライヘの生家や出身大学を訪ねて東ドイツに行ったときの話。共産圏の恐ろしさがどぎつく描かれている。警察国家のもと、他人を信じられないことで、こんなにも人心は荒廃してしまうのか。
地上絵そのものについては、あまり頁が割かれていない。そちらを知りたい人は別の本をどうぞ。