『日本政界における"野武士"、野中広務氏の人物像に迫る渾身のドキュメンタリー』
これまでは、マスコミで報道されてきた『影の総理』・『抵抗勢力』としての野中氏しか知らなかったわけですが、本書を読んで野中氏に対するイメージが変わりました。町議員?町長?京都府議員?京都府副知事?国会議員へと政界の階段を一歩一歩登り、総裁の座を目前にしながらも身を引かざるを得なかった"野武士・野中氏"の姿を、淡々とした筆致で迫ります。"調停役(フィクサー)"としての野中氏の半生と共に、戦後日本の政治の"表と裏"が非常に良く分かります。(特に蜷川府政の裏側、「非自民連立」の追い込み、「自社さ」?「自自公」の連立政権実現の裏側、「加藤の乱」鎮圧の経緯は読み応えアリ) 「本当にここまで書いてしまって良いの?」という内容の連続で、衝撃的でした。「政治の裏側で実は色々とあるのね」ということを知ってしまうと、今回(2007年9月)の安倍総理突然の辞任?麻生氏立候補表明?一夜にして福田氏優位?福田総理誕生という政治の流れも、裏できっと色々とあったんだろうなぁ、と思ったりしましたね。(「情報戦」「取引」があったのかな...?)
自らの出自が故に弱者に優しい一面、弱者の甘えには厳しい野中氏。本書から窺い知れる野中氏の"アファーマティブ・アクション(積極的差別是正措置)"への姿勢は、コンドリーザ・ライス氏(現アメリカ国務長官)のそれと共通するものがありますね。実際に差別を直面し、自助努力で乗り越えてきた人でないと発せられない言葉の重みが其処にあります。「"差別"も"逆差別"もない社会とは?」という命題について再考させられました。自助努力を促す社会/自助努力する人が報われる社会の実現って、やっぱり青臭い理想論なのかな。(でもやっぱり、信じたいですね...) そんなことも思ったりしました。現代政治・社会の"裏側"について、色々と考えさせられる一冊です。