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世界覇権国アメリカを動かす政治家と知識人たち (講談社プラスアルファ文庫)

『80年代の米国の知識人を系統的に網羅したユニークな本。しかし間違い多し。』
良いところ
1980年代に活躍した全米の100人以上の知識人を右か左かなどのイデオロギーによって系統的に紹介。巻末には人名による索引もある。また、雑誌やテレビ番組の紹介もある。文庫本なので安い。巻頭にはこれらの知識人の相対関係を示したチャート図まである。

悪いところ
間違いが極めて多い。しかも小さな間違いでなく、信じられないような根本的な間違いが多い。すべてを指摘する余裕はないが例えば1ページ目を例にとるとジャックケンプの紹介で、「74年のある日ワシントンで、経済学者のジュードワニスキーとアーサーラッファーと三人でいっしょにレストランで食事をしながら雑談していた。この時、アーサーラッファーがテーブルの紙ナプキンに、「税率が下がれば生産が上がって、税収がふえるんだよ」という図を描いた。これが後に、ラッファーカーブと呼ばれるようになった減税優先経済学の関数式である。」とあるが、この有名なナプキン事件はジャックケンプでなくディックチェイニーと起こった話である。ジュードワニスキーは経済学者でなく、経済学には素人の新聞記者である(この点は重要)。ケンプとワニスキーがあったのは76年であり、ラッファーはその場にはいなかったのでこの話は成立しえない。またラッファーカーブは関数式などではない。サプライサイド経済学は非常にうさんくさいペテン話レベルの経済学だが24ページ目にはアメリカが誇った本物のサイエンスだったとか書いてある(この点は本物の経済学者のポールクルグマンによる本を読むとわかる)、などなど。

私はたまたま経済学を習っていたのでこれがわかるが、あなたが軍事や国際政治に詳しかったら、もっと多くの間違いが見つけられると思う。

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