『ういういしい』著者の井口奈己さんは自分の8ミリ映画をリメイクすることで劇場用映画デビューしたという変わり種の監督だ。そのデビュー作の完成まで、自分がどうやって映画を見て、撮ろうとし、悩みながら撮り、それが評価されるにいたるまでを、非常に素直な文章で綴っている。35ミリ版の「犬猫」は山田宏一氏、蓮實重彦氏をはじめとして映画界の重鎮を唸らせた傑作。私も劇場で見てその映画的感性に驚かされた。これから映画を撮ろうとする人間にとっては非常に励みとなる一冊になることだろう。